観光施設を営まれている方で「顧客単価の向上」に真剣に取り組まれている方はどのくらいいますでしょうか?

日本では顧客数の増加が主な目標となっており、顧客単価の向上に取り組めていない事がほとんどのように感じます。一方で先進的な米国では顧客単価向上に真剣に取り組み、大きな効果を上げているのです。

これは長い目で見た時により効果が高いのが顧客単価の向上であり、近年の環境の変化を受けてその重要性が今まで以上に高まっているからといえます。

ではどのように顧客単価を上げることができるのでしょうか?単に入場料を上げるだけではなく、総合的に顧客の単価を上げるには具体的なアイデアが必要です。

そこで本記事では、観光施設が顧客単価を向上すべき理由を解説した上で、アップセル・クロスセルという観点から実際に単価上げるための5つの方法を例を交えて詳しくご紹介したいと思います。

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  • 観光施設・事業を運営されているオーナー、経営者
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是非最後まで記事をご覧ください。

<筆者の紹介

  • 観光業界でデジタルマーケティングに携わり10年以上
  • 元大手のOTAでとある責任者として働いていた
  • NutmegというITサービスの運営中
  • 商談や繋がりなどで1,000以上の観光事業者と対話
  • 大手に対してEC業界やITサービスのコンサルティングの実績あり

目次

顧客単価向上の重要性が増している

近年では顧客一人あたりの単価(顧客単価)を上げる必要性がより一層増しているのを感じている方はどのくらいいるでしょうか?

インフレを始めたコスト高や日本におけるマクロトレンドが影響していることが主な理由であり、観光施設側も事業運営方法を大きく見直す事例が出ています。

この背景にどういった要因や背景があるのか、なぜ顧客単価向上の必要性があるのかを解説するところから始めたいと思います。

事業環境が大きく変化:様々なコストが増加中・新規顧客獲得困難へ

2023年から始まった大きな経済トレンドの変化によって、観光施設の事業運営にかかるコストが増加しており方々の多くは悩まされているはずです。

インフレや円安を始めとした物価高や光熱費の大幅な上昇など、事業運営を持続的に行う上では非常に厳しい環境になってきています。

また、近年では広告や販促の効果が弱まっていることから、1人の顧客を獲得するコストが増加傾向です。費用対効果が悪くなることでより多くのコストが必要人あり、利益率を圧迫する原因になりつつあります。

加えて日本におけるマクロ環境である人口減少は顕著に進んでおり、今後も新規の顧客を取り続けるには限界がきているのです。

このような大きな事業環境の変化にどのように適用すべきでしょうか?

単価向上のメリットは顧客数が一定でも売上・利益が上がる

事業環境の変化に応じたコスト削減や業務の効率化など様々な対応策はあるのですが、永遠に行うには限界があることに気づかれていますでしょうか?

そのため現在の事業環境を基礎とした経営戦略としては「顧客単価を向上」することが生き残るための重要な位置づけになることは間違いありません。

この顧客単価の向上がもたらす効果は絶大で、たとえ顧客の数が伸びなくても売上・利益を継続的に伸ばすことができます。これは中長期的に事業運営がしやすくなることを意味しており、結果として余力が生まれることで施設の改修や価値の向上に積極的に投資することができます。

この投資の結果として、施設の付加価値があれば今後も値上げがしやすくなりますし、継続的に顧客単価を上げていく環境が整えられます。

例えばディズニー(オリエンタルランド)は施設の投資を強化することによって、継続的に値上げをしながらも顧客単価を上げ続けているのです。詳細は別の記事で解説予定ですので、少しお待ちください。

これだけのメリットを得られる顧客単価の向上に取り組まないとしたら、近い将来事業自体が立ち行かないリスクも秘めているのです。

ではこのように観光施設は顧客単価を上げれば良いのでしょうか?

顧客単価をどうやってあげれば良いか?

一言に顧客単価を上げると言っても簡単ではありません。今までに色々試したけど、なかなか単価が上がらなかったという施設も多いと思います。

ではどういったアプローチをすべきかというと、観光施設への来場前や来場中などの「状況を分けて考える」ことが大切になります。これを図示したのが以下の通りです。

顧客単価を上げる方法

顧客単価を来園に関する「入場単価」と現地に関する「現地消費単価」に分けて考える必要があります。それぞれの単価を上げるには「アップセル・クロスセル」という施策を持つことで、具体的に顧客単価を上げることができるようになります。

こういったアップセル・クロスセルを様々な顧客接点で使うことで、顧客単価を増やしていくことになります。

顧客単価を増やす5つの方法

ここからはアップセル・クロスセルを使った顧客単価を増やすポイントをご紹介しましょう。

顧客接点を整理すると、以下の5つが顧客単価を向上させるための方法です。

【顧客単価を増やす5つのポイント】
・方法1:豊富な入場パッケージを販売【アップセル】
・方法2:入場に付帯した設備を売る【アップセル】
・方法3:現地限定の体験を追加販売【クロスセル】
・方法4:混雑に応じた特別商品【クロスセル】
・方法5:物販・飲食での購入数を上げる【クロスセル】

各方法ごとに詳しく解説しますので、それぞれご覧ください。

方法1:豊富な入場パッケージを販売【アップセル】

入場単価を増やす「アップセル」として最初にご紹介したいのが、単に入場チケット以外を販売するのではなく「入場時に関して付加価値を上げる」方法です。

これは入場に関連した選択肢(チケットオプション)を増やすことが顧客満足度を向上するのにも繋がっているため、実は一石二鳥の施策だと言えます。

ではどのように入場に付加価値をつけられるのか、どのような商品のラインナップで攻めるべきなのかなど解説します。

通常の入場券以外を販売して「バリエーション」を増やす

観光施設で多いのは、単に入場券だけを販売するというケースです。一方で成功している観光施設は入場に関する商品とバリエーション豊かに揃えて売っています。

例えば米国の大手テーマパークは最低でも4~5種類の入場商品を売っており、実際に顧客の調査をしても、入場に関するバリエーションが多いことを示す「チケットオプション」が多いことが満足度に繋がっている関係がわかりました。

これは単なる入場するためのチケット販売だけではなく、様々なバリエーションをつけた入場券(以後は「入場パッケージ」という)を販売することが施設と顧客のWin-Winに繋がるのです。

ではどのようにして入場に関するバリエーションを増やせば良いのでしょうか?そこでポイントになるのが「付加価値を作る」という考え方です。

入場に「付加価値」を加える方法

入場に付加価値をつけるというのはどういう意味なのか?様々な切り口があるとは思いますが、一番シンプルに考えられる「セット売り」としてのパッケージ販売がおすすめです。

理由は施設のオペレーションを大きく変えずに導入できるため、バリエーションを作るときに実行しやすいのが特徴だと言えます。

具体的な付加価値を付ける例としては以下の通りです。

<例:施設内の入場に関する特典を付ける>
・優先レーンからいつでも入場できる特典付き
・時間指定で専用窓口から入場できる特典付き
・営業時間から少しだけ先に入場できる特典付き(特に繁忙期)

<例:施設内の人気商品を事前に組み込む>
・食事や飲み物など多くの方々が好む商品をセットにする
・定番や好まれるお土産の商品をセットにする
・記念撮影した写真が無料がもらえる権利をセットにする

<例:限定の特典を入場券に組み込む>
・季節のイベントや展示などへの追加入場券をセットにする
・数量限定のチケットデザインがもらえる権利をセットにする
・コラボしたキャラの限定グッズをセットにする

このようにちょっとした工夫をするだけでも、現場のオペレーションを大きく変えずにバリエーションを増やすことができれば入場単価を上げることができるのです。

より具体的な例やオペレーションフローの構築は別の記事でご紹介したいと思います。

リピーター作りも同時に行う

入場に関する顧客単価に関連した要素として、リピーター作りを一緒にできるようなチケットオプションの販売は見逃せません。

例えば一般の入場券を買った人を年パスにアップグレードして単価UPを当初から実現したり、季節限定のシーズナルパス(例:夏休み)を販売することがあげられます。

単にその時に入場してもらうのではなく、入園チケットを購入した際に一定の来場回数分の単価を獲得することで、その後仮に来場しなくても既に顧客単価が上がることが確定しているため安定した売上に繋げることができるのです。

年パスの販売はこちらの記事で詳しくご紹介していますので、是非ご覧ください。

このように入場に関するパッケージ販売を推進することで、入場に関するアップセルを狙い顧客単価を実現するのです。

方法2:入場に付帯した設備を売る【アップセル】

入場単価を増やす「アップセル」の2番目の方法は、「入場に付帯した設備を当初から販売」して確実に単価アップを稼ぐ方法です。

日本では取り組んでいる施設はまだ少ないのですが、エンターテイメント先進国である米国では一般的に行われています。

なぜ当初から入場に関連した設備を売るべきなのか、実際にどんな設備を売ると効果的なのかを解説したいと思います。

入場に関連した「設備を事前販売」して単価アップを確実に

施設といえば通常は入場券や年間パスポートなどの「入場」としてのチケットを販売していると思いますが、ここに加えて必ず考えたいのが入場に関連した設備の販売です。

特にポイントなのが事前に販売するという点。理由はシンプルで現地に来てからでは、本当に買ってもらえるかどうか不確実だからと言えます。それは現地では施設そのものを楽しみにきている関係上時間は限られており、隅々までしっかりみて購買判断を行わないことに起因します。

現地で時間がないのであれば、事前の時間のある時にじっくりと見てもらい興味を刺激することで購買に繋れば良いという発想に辿りつくはずです。

もし事前販売を促進したいのであれば、少しだけお得にする(例:早割)という手法も有効です。全く買ってもらえないのであれば、割引販売よりの機会損失が増えてしまいます。

この点は別の記事で詳しく解説しますので、少々お待ちください。

このような新しい発想を持って「入場に関連した設備を事前販売」するのが確実な単価アップに繋げる秘訣になっています。

施設の「駐車場」は事前販売可能な鉄板設備

ここからは実際に販売可能な設備例をご紹介しましょう。ほとんどの観光施設が持っており、かつ一番手軽に事前販売がしやすいのが「駐車場」です。

意外と思われる方もいるかもしれませんが、顧客は施設に来る際に事前に交通手段を検討していることが多く、車以外の交通手段で来る場合は駐車場代が稼げないという機会損失が生まれやすいのが特徴といえます。

更に近年のコスト増(誘導員の人件費など)に伴い、施設側も駐車場を無料で提供するケースが減少し「有料」で提供するようになってきました。

もし事前に駐車場の予約販売をしていれば、当日に来る最低台数を可視化できることから現場で対応すべき係員等の配置にも役立てることが可能です。

また、駐車場を区分けごとに価格を分けて売る方法も非常に有効です。例えば入口から近い駐車場は価格を上げておくなど、駐車場1つとっても様々な施策で単価アップを狙うことができます。

具体的に駐車場をどのように事前販売すべきかは、別の記事でご紹介予定です。

人気の食事や飲み物・お土産を「単品」で事前販売

駐車場に次いでおすすめしたいのが、施設内で販売している人気の食事や飲み物を「単品で事前販売」する点です。人気品という点以外では、数量限定のお土産などもとても有効な施策となります。

パッケージとしてのセット販売を上述しましたが、必ずしもパッケージにしなくても単品で販売することも十分に有効です。ここで押し出すメリットはパッケージの際と似ており、当日列に並ばずに変えることや、引き換えだけなら時間がかからないという点を強調が可能。

一方で施設側もメリットがあり、駐車場と同様に事前に申込数が分かることで十分な在庫を用意したり会計の手間の短縮などを実現することができます。

どちらも米国ではスタンダードな販売方法になっており、これにより入場に関する単価アップを実現している大手パークが続々と出てきています。

入場に関連した設備を適切に事前販売することで単価アップを確定し、機械損失なく販売できるように検討されてはいかがでしょうか?

方法3:現地限定の体験を追加販売【クロスセル】

アップセルに続いては、現地消費単価を上げるための「クロスセル」として、「現地限定の体験」を入場券に加えて追加販売する方法をご紹介します。

ここでポイントになるのは、顧客が事前販売時にパッケージ商品などを購入してくれない層が一定数いることです。

では事前販売時に逃したら終わりか?というと、そういうわけではありません。来場するまでに追加販売できるチャンスは十分にあります

ではどういった性質のサービスが追加販売をしやすいのか、どのような方法で販売すべきなのかを解説します。

現地で出来る体験を「追加販売」する意味

追加販売が必要な考え方は、入場に関連した設備の販売と同様です。現地に来ても気づいてもらえなかったり、現地では十分な時間がないことでそもそも検討の対象外になってしまう点をケアするために事前に顧客へアプローチします。

この時にポイントにしたいのが、1回だけではなく複数回顧客の目に触れて認知度を上げるということ。単に目に止まっただけではすぐに忘れられてしまいますし、興味を惹くためには一定回数アプローチすることが必要不可欠です。(気になる方は忘却曲線をご覧ください)

例えば入場のチケット販売時に追加オプションとして案内したり、チケット購入後に完了画面や完了メールでアピールしたりなどで一定回数アプローチが行えます。

もし購買率を上げたい場合は、限定感をアピールすることで購買意欲を刺激することも可能です。

より具体的な顧客へのアプローチ方法は別の記事でご紹介予定です。

限定のイベントは追加で売りやすい

アプローチ方法が分かった後は、実際にどんな販売商材を何にするかです。現地で様々な出来る体験があるかと思いますが、中でもおすすめしたいのが「限定のイベント」です。

限定のイベントと聞くと運営が大変かと想像されるかもしれませんが、観光施設の方々は既に取り組んでいる事を改めて販売するだけなので実は現場の負担は大きくないのです。

例えば季節ごとに実施している体験会(クリスマス・バレンタインデー・子供の日など)や、キャラや他の施設などとコラボしたイベントです。

こういったイベントを商品化する時に考慮したいのがその売り方(How)です。誰でも参加できるようなイベントを有料で販売しても価値が出ませんので、そこで登場するのが先ほども出てきた「限定」という考え方です。

実際に参加する際に時間指定をしたり、上限がある人数指定をすることで、顧客に提供できるだけの「特別な体験を演出」します。これなら通常のイベントとも差別化されており、お金払ってでも参加したい興味の刺激ができます。

VIPツアーなどの特別サービスを提案

イベントの運営が難しいと感じる施設におすすめしたいのが、数少ない限られた顧客のみに提供する特別な体験商品です。「VIPツアー」といえばイメージがつきやすいかもしれません。

例えば、誕生日や記念日などに使える特別なサービスをつける(ケーキ・花束・記念撮影など)ことで、一気に付加価値をつけることができるのです。

付加価値が高い分販売する単価も高く設定できますし、数が少なかったしても十分な売上を見込むことができます。

もしこういった特別なサービスの人気が高く、すぐに定員が埋まるのであれば、一般商品として加えて通常販売することもできるでしょう。

このように現地で出来る体験の追加販売は、想像以上に高い申し込み率を得ることができる強い武器です。まだ何も出来ていない方は是非ご検討ください。

方法4:混雑に応じた特別商品の提供【クロスセル】

現地消費単価を上げるための「クロスセル」次の方法は、現地で「混雑状況に応じて買える特別な商品の販売」です。

これは顧客が感じる不快感・苦痛(ペイン)を解消する有効な手段でもあるため、一定層の顧客満足度を上げることにも繋がります。

なぜ顧客のペインを解消できるのか、そして実際にどんな商品を販売できるのかを順に解説します。

顧客のペインを解消する商品の必要性

観光施設に共通する顧客の不快感・苦痛(ペイン)は、施設内の混雑です。

顧客の都合で繁忙期や一部の時間帯に顧客が集中することで、施設内が混雑する事態自体を避けることは難しいでしょう。この時に発生する顧客のペインが影響することで、顧客満足度の低下を招く恐れがある危機でもあります。

また、そこまで混雑していなかったとしても現地に滞在できる時間が限られていたり、少しの時間でも待ちたくないや列に並びたくないという気持ちは顧客に共通したニーズだといえるのです。

こういった時に顧客が感じるペインを解消し、満足度を損なわないためにも一部の顧客だけでも便利に使えるサービスを導入する必要性があるのです。

もちろんすべての顧客に対応できるのが理想ではありますが、施設のオペレーションとしては現実的には不可能でしょう。限られたリソースを有効に使うためにも、一部のターゲットに向けた商品展開が求められています。

優先パス・VIPパスを導入する

混雑緩和・行列の回避・待ち時間の短縮として分かりやすいのが、ディズニーが導入している有料のファストパス(プレミアムアクセス)です。実際にディズニーは有料のファストパスを有効活用することで、収益の向上を図っています

こういった内容を総称して、一般的には「優先パス」や「VIPパス」と呼ばれるようになりました。一定の列をスキップして優先的に入場できたり、普通の顧客が入れない方法で体験できる待遇を得られるのがその語源です。

こういった優先パスが一番効果を発揮するのは混雑しやすい繁忙期や土日祝、特定の時間帯です。時間を無駄にしたくない層に向けて提供することで、その効果を発揮することが可能になります。

一方で混雑しない時間帯は優先パスを利用する必要がないのですが、VIPパスは特別なシチュエーション(誕生日・記念日など)でも活用ができるため混雑に依存しないことも可能です。

導入に抵抗のある施設も多いとは思いますが、米国では当たり前のサービスになってきているため、この点は別の記事で解説予定です。

優先座席を一部提供するという手段

優先パス・VIPパスが導入しづらい方におすすめしたいのが、イベントやショーなどで効果を発揮する「優先座席」の提供です。

人気のイベントやショーでは、良い席を確保するために一定時間前から並んで待っている方がいませんか?待っている時間は楽しみもできないですし、現地にいる貴重な時間を浪費してしまいます。

そこで限定された一部の座席だけで結構ですので、電車の指定席やグリーン車のように有料販売するのがおすすめです。

現地では係員が顧客の案内や入場・整列のお手伝いをしているケースが多いと思いますので、優先座席チケットの確認や利用もそこまでハードルが大きくありません。

こういった優先座席を提供することで、数は少なくはなりますが特別な体験をしたい顧客や時間を節約したい顧客にアプローチすることができます。

ご紹介してきた混雑に応じた特別商品は顧客単価を上げる強力な手段であり、同時に顧客満足度を上げることに繋がりますので、迷ったら是非導入を検討されるのをおすすめします。

方法5:物販・飲食での購入金額を上げる【クロスセル】

現地の消費単価を上げる「クロスセル」に欠かせないのが、施設内で販売している「物販や飲食の売上を伸ばす」ことです。

ここで大事なのは単に物販や飲食の売上を追うのではなく、単価を上げるために会計あたりの購入金額(1人あたり複数買ってもらう)部分を意識することです。

この購入金額を上げることが顧客単価向上に直結する理由や、どのように金額を上げるためにアプローチするか、実際にどういった内容で対応するのかを解説します。

顧客の欲しい気持ちをブーストしよう

物販・飲食の購入金額を上げる際に着目すべきなのが、顧客の「欲しい」という気持ちをブーストすることです。

これは品物がある商売では常套手段となっており、購入点数や金額に応じて一定の特典を付与するという方法です。

なぜこういった手法が主流なのかというと、顧客が迷っている心理を突く(買おうか買わない)ことや、もうちょっと買えばお買い得感を味わえる(合計金額よりも割引額の方に目がいってしまう)という顧客心理を利用したものだからです。

ちょっとした欲しい気持ちをブーストすることで明確な購買意欲に変わり、その気持ちを活用することで顧客単価アップに繋げるのです。

クーポン配布で購入金額を底上げ

具体的にどのように購入点数を上げるかというと、一番身近な手法がクーポンを使った内容です。

例えば5,000円以上お買い上げで500円OFFといったような内容で、指定の金額を超えることでメリットを受けられることを提示することにあります。

このクーポンを企画にするにあたって特に大事なのが、5,000円という「閾値(しきいち)」をコントロールすることです。従来のレジの平均単価が2,000円であれば5,000円は高すぎるため現実的ではありません。

1回あたりのお会計のデータを見ることで、具体的な閾値を設定しましょう。その際には、平均よりももうちょっとだけ買えばお得になるという点を強調することです。

より具体的な分析や企画内容の詳細は、別の記事で解説したいと思います。

モバイルオーダー・チェックアウトでニーズを逃さない

顧客の欲しい気持ちをブーストするのはクーポンといった金銭的なメリットだけではありません。欲しいというその気持ちをすぐに解消してあげることも、購買意欲の底上げに繋がるのです。

例えばお土産の購入や飲食の注文に長い列ができていたとします。これでは欲しいと思っている顧客の購買意欲が削がれるケースがあり、時間がないからやめよう、列に並びたくないからやめようというキッカケができてしまいます。

これを解決できるのがモバイルオーダー・チェックアウトという施策です。待たなくても列に並ばなくてもオーダーや精算ができるのであれば、欲しい気持ちを保ったまま購入完了が可能です。

一方で現場のオペレーションをどうするのかというと、専用の受渡・確認レーンを設置することで対応が可能になります。例えばマクドナルドのようなイメージをしてください。

専用レーンは一見難しそうに感じるかもしれませんが、実は現場から見てもあまり負荷なく導入することが可能です。詳しくは別の記事で解説したいと思います。

観光施設にとっては施設内で販売できる物販や飲食は重要な要素であり、購入金額を上げることで顧客単価を確実に上げられるように工夫しましょう。

まとめ

観光施設が顧客単価を上げる5つの方法を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?事業運営を長い目でみた時には、顧客数の増加よりも顧客単価の向上がの方が効果的」なのです。

一方で顧客単価を上げるには工夫できる余地がたくさんあり、日本の施設ではまじめに取り組んでいるケースはまだまだ少ないのが現状です。そのため取り組みを始めればすぐに効果が出る場合が多く、すぐにでも真剣に実行する価値があるといえます。

もし企画して実行するのであれば、1つ方法だけではなく可能なら全部をまとめてやる心構えがおすすめです。ご紹介した5つの方法はすべてが繋がり有機的に動いているため、顧客の心を動かすのにはとても有効です。

興味を持った方は今日から早速行動されてみてはいかがでしょうか?

当ブログではゲストエンゲージメントを高めるための秘訣や、具体的にどういった施策でエンゲージメントを高めるのかを詳しく解説していく予定です。

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