観光事業を営まれている皆様においては、メールマガジンの配信をされている方はどのくらい割合いますでしょうか?筆者の感覚としてはまだまだ少ないと感じています。
その理由として、メルマガなんて効果がないと疑っていたり、送るための仕組みがない、運営するための時間がないから出来ないと諦めていませんか?
一方でメルマガから期待できる効果は想像以上に大きく、現在も将来もとても有効なマーケティング施策の1つであることがデータから証明されているのです。
なぜメルマガはこんなにも効果が高いのか、事業者にとってどんなメリットがあるのか気になるところですよね?
本記事では「観光事業者がメルマガを使うべき理由」を3つの観点から詳しく解説。メルマガがいかに使われていて優れた仕組みなのかに加えて、コストが安い・費用対効果が良い・スケールしやすいというメリットを分かりやすくご紹介しますので、是非最後まで記事をご覧ください。
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- 観光施設・事業を運営されているオーナー、経営者
- 観光施設・事業に携わっている営業職の方々
- 観光施設・事業に携わっているマーケティング職の方々
<筆者の紹介>
- 観光業界でデジタルマーケティングに携わり10年以上
- 元大手のOTAでとある責任者として働いていた
- NutmegというITサービスを運営中
- 商談や繋がりなどで1,000以上の観光事業者と対話
- 大手に対してEC業界やITサービスのコンサルティングの実績あり
購読者の視点:世間のメルマガ普及率・利用率
メルマガと聞くと「本当に効果があるのか?」と疑う方がいらっしゃいますが、確かに世間でどのくらい普及しているのか気になるところです。
特に顧客であるメルマガ購読者がどうなっているのか知ることで、近年におけるメルマガの有効性を確かめることができます。
有効性を確かめるために2022年に行われた「メルマガに関する調査レポート」があるため、このレポートを元に世間ではどのくらいメルマガが使われているのか見ていきましょう。
1日あたりのメルマガ受信数・閲覧数(普及率)
一番最初に知りたいのが、購読者がどのくらいメルマガを受信しているかという点です。世間におけるメルマガの普及率を表すことができます。
2022年に行われたメルマガ調査レポートの中身を見ると、なんと「1日あたりかなりの数のメルマガを受けとっている」ことが分かりました。
プライベート用で見ても21通以上受信している層が1/4を占め、〜10通程度受信している方も1/2を占めています。これは皆さんが想定以上にメルマガが普及していることを示すデータと言えます。
では受信したメルマガのうちどのくらい内容を見ているかというと、こちらも同様に「1日に結構な数のメルマガを見ている購読者が多い」ことが分かります。
1日の中で〜10通まで読んでいる層は60%にも達しており、21通以上読む層も10%以上いるのです。
こういった状況を考えても、メルマガを送ることの意味や読んでもらう意味はあると言えるでしょう。世間におけるメルマガ普及率はとても高いのです!
メルマガの申し込み率・期待するコンテンツ(普及率)
メルマガが普及するために実際にメルマガに申し込みをする顧客数がどのくらいいるかというと、約75%が自らメルマガの購読を申し込んだことがあると回答をしています。
その目的は様々ですが、気になる情報を得るためにメルマガを購読していることが見て取れるでしょう。
単にお得な情報を求めているのではなく、最新の情報やニュースやイベントやセミナーなどの情報を欲しているのです。
つまりメルマガは購読者にとっての有効な情報取得手段であり、普及している理由がなっとくできるはずです。
メルマガからの情報閲覧率・購入率(利用率)
それでは普及したメルマガが実際にどのくらい使われているかという「利用率」を見ていきましょう。
特にLINEやSNSと比較して、メルマガ自体がどのくらいの効果を発揮しているのかが気になるところです。
ここでは利用率をメルマガの「閲覧率」と、メルマガ経由で行動に至った「購入率」という2つに分けて見ていきましょう。
<メルマガの閲覧率>
メルマガを受け取った後に起こる情報の閲覧率に関しては、一番高いLINEと比較しても遜色がないぐらいに高いことが分かりました。一方で動画系(Youtube・Tiktok)は低く、この点でもメルマガから大事な情報を得ることの有意性を読み取ることができます。
<メルマガ経由の購入率>
メルマガで情報を見た後に顧客が行動して購入したかどうかというと、こちらはメルマガがキッカケの購入が「87%」とSNS系(80%台後半)と比べても遜色がないことが分かったのです。
例えばビジュアルとして分かりやすいInstagram(89.2%)と比較しても、そこまで大きな差はない(2.7%の違いのみ)のです。これは意外かもしれません。
こういった情報を見ても、利用率としてもメルマガの有効性はまだまだ高いと言えるのではないでしょうか?
普及率・利用率の両方の観点からもメルマガは現代において顧客にとって有効に活用されており、十分利用する価値がある媒体といえます。
事業者側の視点:なぜメルマガが良いのか?
これだけメルマガが普及している背景には、事業者がメルマガを有効な手段として使っていることを示しています。
ここからは事業者の視点から見てもなぜメルマガが良いのか?その理由を具体的に紐解いていきたいと思います。
メルマガが事業者に使われている背景から始まり、メルマガが使いやすいポイントや持つ意味を1つずつ解説します。
メールマーケティングの歴史が長いため習慣化している
メルマガは「メールマーケティング」というマーケティング手法に位置付けられ、過去を遡ると50年以上も歴史がある(1978年に最初のメールマーケティングが行われた)確立されたマーケティング手法なのです。
※Digital Equipment Corporation(アメリカ企業)に在籍していたGary Thuerkという方が送ったメールが最初のメールマーケティングと言われている。
日本では2000年に始まったiモードがキッカケでメールマーケティングが普及し、日本だけでも20年以上の歴史があるのです。
また、近年ではメールマーケティングはより多様化し、テキスト主体だったメールが画像・デザインが組み込まれたHTML主体のメールが好まれるになりました。
このように歴史的な長さから人々にとってメールは日常的なコミュニケーション手段として定着しており、習慣的に利用する癖がついているのです。
勝ちパターンの手法が確立されている
メールマーケティングの歴史の長さは、メルマガノウハウの蓄積という観点で見ることもできます。
例えばメルマガとしてよく見られる・購入されるようなテンプレートの提供から、送った後に分析して改善するための指標管理(KPI)まで確立されています。
またメルマガに関して過去に多くの事業者が利用をしていることから、成功するための分かりやすい施策が溜まっているのです。
こういった勝ちパターンが一番多く存在しているのがメルマガであり、近年発達してきたSNSと比較しても事業者側が使いやすい点が大きなメリットになっています。
顧客との接触機会を効果的に作れる
事業者にとってメルマガを送る目的は何でしょうか?特に観光施設・観光事業者にとって、メルマガを送る目的や意味を明確にしたいところ。
一般的にモノなどの実態がない「サービス」を提供するビジネスとしては、リピーターを作る重要性が言われています。
このリピーターを作る際には「顧客との接点作り」が欠かせません。リピーター作りの詳細は下記の記事でご紹介していますので、是非ご覧ください。
この顧客接点を作るのに役立つのがメルマガであり、とても有効なアプローチ方法なのです。
メルマガ購読者のデータを見ても明らかであり、有効に活用することがリピーター作りの成功のキッカケを作ることに貢献してくれます。
観光事業者がメルマガを使うべき3つの理由
大枠としてメルマガの重要であり有効な手段であることを説明しましたが、ここからはより具体的に観光事業者がメルマガを使うべき理由を3つの観点から解説します。
<観光事業者がメルマガを使うべき3つの理由>
・理由1:顧客との適切なコミュニケーション手段に最適
・理由2:コスパが一番良い(費用対効果が高い)
・理由3:スケールしやすい(拡張性が高い)
1つずつ詳しく解説していきますので、次から見ていきましょう!
理由1:顧客との適切なコミュニケーションに最適
観光事業者がメルマガを使うべき理由の1つ目は、顧客と適切なコミュニケーションを最適に行うという点です。
リピーター作りには定期的に顧客と接点を作る必要があり、そのためには適切なコミュニケーションを取っていく必要性があります。この顧客とのコミュニケーション作りに最適なのがメルマガなのです。
顧客コミュニケーション手段がなぜ重要なのか、事業者にとってどんな意味を持つのか、どのように使うべきなのかを解説します。
必要な顧客だけが見れる「適度な機会」を作りやすい
メルマガの特性として必ず抑えたいのは、必要な顧客だけが見てくれるというポイントです。
メルマガの開封にあたっては「メールの件名・タイトル」で判断されており、自分に関係ないと思った顧客はメルマガの内容を見なくても済みます。
これは顧客にとっては余計な時間を浪費せずに済むということで、事業者にとっては過多で不要なコミュニケーションを避けられるという利点が生まれるのです。
下記のデータの通り、過度なコミュニケーションは顧客にとって苦痛を引き起こす可能性が高く、結果的にメルマガの購読解除にも繋がってしまうのです。
メルマガの比較対象として、LINEなどはどうでしょうか?通知があると必ず見てしまう顧客が一定いるため、LINEは顧客の関心がなかったとしても開封して余計なコミュニケーションを取ってしまう可能性が出てくるのです。
こういった顧客にとって「心地よい適度な機会」を作るのに最も適したのがメルマガの強みと言えます。
施策の数値が明確に分かる・KPIが使いやすい
メルマガは施策を行なった際に効果検証をするため数値・KPIが分かりやすいのも特徴の1つです。
上記でご紹介した通りマールマーケティングには長い歴史があるため、以下の図のようにメルマガを配信した後に「具体的に何を見て改善を行えれば良いのかが明瞭」になっています。
このようにメルマガで測定できる数値は顧客とのコミュニケーションを行なった結果を表す重要な指標であり、定量的に評価をするのに使うことができます。
これは運営する事業者にとっては非常にありがたいことで、一般的なフレームワークに則って効果検証を容易にすることができるのです。
何が課題なのかを特定し、改善に活かすことで徐々に精度を上げることが可能です。より具体的な数値や改善方法は別の記事で紹介予定です、楽しみにお待ちください。
コミュニケーション対象の「ターゲット」に応じて使い分け
顧客との適切なコミュニケーションを行うためには、誰に送るのかと言ったターゲットを意識するのが重要になります。このターゲットを意味する用語として「オーディエンス」や「セグメント」として表現する事が多くなっています。
この点、メルマガは送付対象のオーディエンスやセグメントが設定しやすいのが特徴です。例えばイベントの案内は全員に配信するけど、具体的な案内はオーディエンスを絞ると言った具合に使い分けが簡単にできるのです。
こういったターゲット配信をLINEやSNSでやろうとすると実はかなり大変です。経験された方は分かるかもしれませんが、ターゲットを指定するために専用のツールを入れたりなど、SNSでは多くの時間と費用をかけないと実現できないハードルが存在しているのです。
ご紹介してきた通り、メルマガは顧客との適切なコミュニケーション作りには最も適した手法であり、数ある媒体の中でも事業者にとっての使い勝手が一番良いものと言えます。
理由2:コスパが一番良い(費用対効果が高い)
観光事業者がメルマガを使うべき理由の2つ目は、メルマガが持つコスパの良さ(費用対効果が抜群)です。
他の手段と比較しても相対的にコストが低く、しかも期待できる効果はそこまで違わないという強みを活かすことができます。
実際にどのくらいコストが違うのか、期待できる効果がどうなのか、そして運用するためにかかる工数がどのくらい違うなどを含めて解説します。
他の手段比較しても料金が圧倒的に安い
メルマガの強みは配信コストが圧倒的に安いことにあります。
メールをリストに対して手動で送れば1通あたりは無料ですし、専用のツールを使ったとしても1通あたり1円未満というケースがほとんどなのです。
一方でテキストで送るSMSは最低でも1通あたり最低でも3円から、文字数によっては数十円かかるのです。加えてSMSには最大の文字数制限があるため、メールと比較しても表現に限界が出てしまいます。
また、LINEに関しても一定の送信数までは固定額で利用ができますが、追加の送信が不可だったり、可能でも1通あたり3円と比較的高額な料金がかかるのです。
メルマガは他と比較しても常に最安料金であり、顧客との定期的にコミュニケーションを取るには最適な媒体だと言えるのです。
投資対効果が高い(収益性は変わらない)
ではメルマガから期待できる収益はどうでしょうか?ここではメルマガの開封率と購入率という2つの観点から説明したいと思います。
まずは購入率ですが、他の手段を比較しても遜色ないことを上記で説明しました。つまりメルマガの中身を見てもらえすれば、SNSと比較しても大きな差はでません。
もう1つの開封率に関しては、LINEなどど比べると相対的に低くなりがちです。一般的にはメルマガの開封率は10%前後と言われることが多いのですが、この開封率はメルマガを送る母集団である購読者数で賄う(後述)ことができるのです。
つまり母集団さえ担保できれば購入率に大きな差はないため、かかったコストに対する収益性としての「費用対効果」が一番大きく傾向になるのです。
いかにLINEが開封率が高かったとしても、1通あたり3円のような大きなコストがかかったのであれば、最終的には費用対効果は高くなりません。
LINEを使った顧客コミュニケーション方法や狙うべき効果は別の記事でご紹介予定です。
メルマガ運営の手順を自動化しやすい
メルマガ利用の強みは事業者側が行う運営工数にも現れ、特にコンテンツ内容の再利用性やターゲットのオーディエンス指定で強みを発揮します。
コンテンツの内容の再現性というのは、一度配信のテンプレートを作っておけば、後は中身であるテキストや写真を入れ替えることで容易に使えることです。
これがSNSだと投稿の度に工夫が必要ですし、LINEではその時に使えるリッチメニューなどの設定と連動させる必要があります。
もう1つのオーディエンス指定では、前もって作っておいた対象のリスト内容を継続的に使えるため(全体配信・特定の顧客層など)、ここも手間がかかりません。※一度作ったリストを自動的に更新してくれる仕組みが多数存在するため
ご紹介した通りメルマガは他に比べてもコスパが抜群に良く(コストが安い・収益性は変わらない・運用がしやすい)性質として大きなメリットが揃っているのです。
理由3:スケールしやすい(拡張性高い)
観光事業者がメルマガを使うべき理由の3つ目は、メルマガが持つ将来的な拡張性が高い = スケールする手法だということ。
メルマガを使って継続的に効果を上げるために取るべき施策が明確になっており、かつそれにかかる工数はあまり増えないというメリットが備わっているからです。
メルマガを運用する過程でどのように拡張していくべきなのか、運用を拡張することでどういった変化があるのか、将来ではどういうった点で使えそうなのかを解説します。
購読者の積み上げで母集団を増やせる
メルマガの効果を最大限発揮するためには、メルマガを送ることができる母集団 = 購読者数を上げることが大切です。(上述の通り)
筆者は購読者が50万人〜200万人程度のメルマガサービスの運営経験がありますが、メルマガの大きな特徴としては「母集団が増えても関連するKPIの値は大きく変化しない」点が上げられます。
つまり母集団を増やせば増やすほど、より大きな効果が期待できるのです。
観光事業者の方々は年間で一定の来場者数があり、継続的な事業を営まれいるはずです。これは一度メルマガを始めれば母集団となる購読者数を伸ばせることを意味しており、年を重ねれば重ねるほど大きな効果を期待できるるのです。
なお観光事業者の方々は「会員登録」という仕組みを使うことで、購読者数の増加を自動で狙えるため皆さんには特におすすめしたい内容です。自社会員組織の重要性はこちらの記事でご紹介していますので、是非ご覧ください。
配信対象が増えても運用工数は増えない
母集団が増えると心配なのが、メルマガの運営にかかる工数が増えるかどうかです。効果が上がってもメルマガ運営の工数が増えるのであれば、事業者にとっては運営自体が困難となるでしょう。
ところがメルマガ自体の運営に関する工数が変わらないのです。先ほどもお伝えしましたが、筆者が経験した購読者数が50万人から200万人に増えても、配信するオーディエンスは自動で更新されますし、メルマガの企画や内容の工数も変わりません。
さらにメルマガの効果検証にかかる時間も大きな差はなく、数値を見ることで簡単にPDCAサイクルを回すことが可能なのです。
メルマガを配信する母集団が増えても運営工数がかからないのは大きな強みであり、スケールするための重要な要素だと言えます。
インバウンドで使えるグローバル仕様
メルマガがスケールできる最後のメリットは、どの国や地域から来た顧客に対しても使えるグローバル仕様という点です。
メールを使うことは世界標準のグローバルスタンダードであり、地域ごとに差があるSNSとは大きな違いだと言えます。
近年はインバウンドの需要で訪日外国人が増えていますが、いずれはこういった方々も対象にメルマガを運用することも可能だと言えるのです。
期待できる効果は国内の顧客に比べれば小さくはなりますが、今後のビジネスをより拡大するためには有力な選択肢の1つとなるでしょう。
ご紹介してきた通りメルマガは対象を拡張するのに最適な手法であり、事業をスケールさせるためにとても強力なツールになります。
まとめ
観光事業者がメルマガを使うべき3つの理由をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
リピーターを作るためには顧客接点を作る必要あり、この目的を達成するにはメルマガが最適だと言えます。
コストが低い・費用対効果が高い・スケールできるという強みがあり、LINEやSNSと比較してもメリットが大きい状態はしばらく続くでしょう。
なおメルマガを始めるには配信のためのツールや自社会員組織が必要になるため、この機会に調査や検討をされてみてはいかがでしょうか?
一度始めれば確実に効果を期待できる取り組みですので、なるべく早いうちに行動されることをおすすめしています。
当ブログではゲストエンゲージメントを高めるための秘訣や、具体的にどういった施策でエンゲージメントを高めるのかを詳しく解説していく予定です。
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