観光サービスを営まれている事業者の多くが悩まれているのが、どのようにして「リピーターを作れるか」です。
自社の提供するサービスの質が良ければ自然にリピーターが増えると考えられがちですが、実際にはそれだけは足りないのが現状。事実として観光事業者が多くのリピーターに支えられていて、全く取り組みが必要ありません!というケースはとても少ないのです。
とはいっても、リピーター作りのために何をして良いか全く分からない、どんな考え方をすれば良いのか道筋がつかないという声をよく聞きます。
観光事業者がリピーターを作るために大切にしたい考え方や、必ず押さえたい大事なポイントが分かるだけでも大きく違いますよね?
そこで本記事では、リピーターが生まれるサイクルを解説した上で、リピーターを作るために何をすれば良いのか?を5つのポイントに絞った上で具体例なども加えながら詳しく解説したいと思います。
【この記事がおすすめの方】
- 観光施設・事業を運営されているオーナー、経営者
- 観光施設・事業に携わっている営業職の方々
- 観光施設・事業に携わっているマーケティング職の方々
是非最後まで記事をご覧ください。
<筆者の紹介>
- 観光業界でデジタルマーケティングに携わり10年以上
- 元大手のOTAでとある責任者として働いていた
- NutmegというITサービスの運営中
- 商談や繋がりなどで1,000以上の観光事業者と対話
- 大手に対してEC業界やITサービスのコンサルティングの実績あり
リピーターが生まれるサイクルを知る
リピーター作りと聞くと、何をすれば良いか頭を抱えてしまう方も多いはずです。サービスを改善すれば良いのか、ポイントカードを作るのかなどいきなり施策を考える方も少なくありません。
ではこういった施策を行うだけで本当にリピーターを増やす事ができますでしょうか?リピーターを作るためには、なぜリピーターが生まれるのかという仕組みを理解する必要があります。
ここではリピーターが生まれるプロセスを一般化した上で、それぞれに何を考えるべきかにいくつかの要因を特定して考えていきたいと思います。
リピーターはどうやって生まれるのか?
リピーターを作る上で、サービスの何事もに共通する一般的なプロセスの理解から始めましょう。様々な要因が複合的に絡み合う事でリピーターが生まれるのですが、そういった事象をより単純化した図はこちらです。
このサイクルは右半分にある「顧客のロイヤリティ形成」と左半分にある「顧客行動の創出」に大きく分かれています。
例えばどんなに顧客が満足して良いと感じていても、次の行動が生まれなければリピーターになりません。双方が存在することで、初めてリピーターが形成されると考えましょう。
このようにリピーターを作るには、リピートプロセスを分解して考える事が重要・基本的な考え方になります。
ロイヤリティ形成は「顧客体験」に深く関わっている
では右側半分の「顧客のロイヤリティ形成」はどのようにして行うのでしょうか?
ロイヤリティ形成を紐解く共通の鍵は「顧客体験」です。この顧客体験は2つに分ける事ができ、良い顧客体験をするという点と悪い顧客体験をなくすということに分解が可能です。
【顧客体験の2タイプ】
・良い顧客体験:満足度が生まれるようなポジティブな感情
・悪い顧客体験:不満が生まれるようなネガティブな感情
この2つの顧客体験を両方とも改善していく事が重要であり、リピーターを作る「初期の要因を形成」することになります。
また、顧客体験は1回だけ良ければ満足して良いというものではありません。様々な顧客体験が積み重なる事でロイヤリティが形成される、つまりファンになるため積み重ねが重要になります。
詳細はポイントのセクションで詳しく解説しますので、そちらをご覧ください。
顧客行動の創出は「顧客接点」を持つことが重要
左半分の「顧客の行動創出」を生み出すためには、何をすれば良いでしょうか?
こちらの鍵になるのは「顧客接点」です。先ほど述べたように、どんなに顧客体験が良くてファンになったとしても、次の機会がなければリピーターになることはないからです。
このためにも顧客接点を持った上で次の機会を創出し、機会ができた時にも選ばれ続ける秘訣が必要になります。
詳細はポイントのセクションで詳しく解説しますので、そちらをご覧ください。
リピーターを作る大事な5つのポイント
考え方とプロセスは理解できたと思いますが、実際にそれぞれどんな事をすれば良いのでしょうか?
顧客体験と顧客機会を最大化することに大きな意味があるため、この深堀りを行う必要があります。
そこで、次からはリピーター作りのサイクルを回すための具体的な5つのポイントをご紹介します。
【リピーター作りに役立つ5つのポイント】
・ポイント1:良い顧客体験としてAHAモーメントを作る
・ポイント2:悪い顧客体験を改善する
・ポイント3:積み重ねてファンになる
・ポイント4:参加後も接触し続ける
・ポイント5:他と比較して選ばれる
ポイントごとに詳しく解説しますので、それぞれご覧ください。
ポイント1:良い顧客体験としてAHAモーメントを作る
まずは観光業界の皆さんにとって一番馴染みの深い、良い顧客体験を提供する事から始めましょう!
既に良いサービスを提供しているから、顧客体験が良いのは当たり前だと思われるかもしれません。では単なる良いサービスの提供だけで、本当に顧客のロイヤリティを高めることができますでしょうか?
答えはYESなのですが、それだけでは不十分なケースが存在するのです。重要なのは適切に顧客の印象に残るかどうかにかかっているからです。
そこで顧客の印象に残るための大事な概念として「AHA(アハ)モーメント」を紹介しながらも、なぜこれが大事なのかを解説していきます。
良いサービス提供では足りないのか?
良い観光サービスを提供することで、顧客は楽しいと感じることで「良い顧客体験」は達成できていると思われていませんか?
もちろん長い年月を通じてサービスを提供されている皆さんのサービスは良いものであり、悪いものなら長く事業が続く事がありません。
しかし顧客にとって良い顧客体験はある意味当たり前になっており、通常の良い体験を超えるような「素晴らしい顧客体験」がなければ印象に残りにくいという現実を認識しなければなりません。
例えば、あなたがどこかの観光事業者のサービスに参加したとして、具体的に良かった点をすぐに上げられますでしょうか?また、それが素晴らしい顧客体験だったと言えるサービスはいくつ思い浮かぶでしょうか?
つまり日頃から提供している良いサービスは必要十分条件であり、印象に残るような素晴らしいサービスを提供するにはもう1つ超えるべきハードルがあるのです。
AHAモーメントは印象に残る
ここでご紹介したいのが、「AHAモーメント」という概念です。近年オンラインの世界で提唱されている内容ですが、オンラインだけではなくリアルの体験でも全く同じ事が言えます。
aha moment(アハ・モーメント)とは、突然の洞察や発見の瞬間のことです。ソフトウェアでは、新しいユーザーが最初に製品の価値と、なぜそれを必要としているのかに気づく重要な瞬間です。
これは感情的な瞬間であり、ユーザーがまた来たくなるような強力な印象を与えるには十分なインパクトを与えることができます。これは、ユーザーが初めてサービスを試した時のある時点で起こるはずです。
アハ!体験を導くWebサービスのディレクション方法より
例えば観光サービスにおいては、初めて体験したような瞬間や、期待を大きく超えるような素晴らしい体験を感じた際にAHAモーメントが生まれると言って良いでしょう。
ここでのポイントは、このような特別な顧客体験は「印象に残る」という点です。単なる良いサービス以上に、顧客の満足度を爆発的に向上する要素だと言えます。
このAHAモーメントを提供することができれば、ロイヤリティ形成に繋がる良い顧客体験 = 顧客の記憶に残る体験を刻むことができます。
AHAモーメントを作るために必要な事
ではどのようにAHAモーメントを作れば良いのでしょうか?
他にもあるような一般的なサービスを提供している関係上、私には出来ないと思いますか?不安は分かりますが、実はそんなことはないのです。
どんな観光事業者だとしても、AHAモーメントを提供できる機会は十分にあり、実際にいくつかの要因に分けて考えて実行することができます。
【AHAモーメントを作るために必要な事】
・その場でしか体験できない内容を主体にする
・特定の人しか味わえない体験を主張する
・自らが一番得意なサービスを強調する
・記憶に残りやすい瞬間をプロデュースする
例えば観光施設で楽しんでもらう際に、その場所だけでしか撮影できないポイントを設けつつ、過去に作られた背景やストーリーを伝え、思い出に残るような記念品をプレゼントするなどが考えられます。
人は単に体験するだけではなく、その背景事情や文脈を知ることで感動を引き起こしやすい心理的な状態を産むことができるからです。
より具体的なAHAモーメントの別の記事でご紹介しますので、お待ちください。
ポイント2:悪い顧客体験を改善する
良い顧客体験を作るのは一定のハードルが感じらるかもしれませんが、悪い顧客体験を改善する方は比較的取り組みがしやすいといえます。
ではどういった悪い顧客体験を、どのように改善すべきか気になるところです。中でも「負の力をなくす」という概念が重要になってきます。
ここでは悪い顧客体験を改善する意味から、どのようにして負の力をなくせるのか、具体的にできる改善例まで見ていきましょう。
悪い顧客体験を改善する意味
悪い顧客体験を改善する意味が本当にあるのか?という疑問を持つ方も多いはずです。では、具体的に悪い顧客体験を改善するとどういう効果があるのでしょうか?
観光サービスを提供されている方々は、基本的には良い顧客体験の提供を目指しているはずです。つまり正の力を顧客へ伝え、喜んでもらおうという考え方が基本になっているのです。
ここで気をつけるべきなのは、せっかく生まれた正の良い体験を悪い体験が「負の力で打ち消す事で効果がなくなってしまう」という点です。
つまり「負の力」が働く事で、せっかく楽しい思い出が作れるのに損なわれてしまう。最悪の場合は、負の力が強すぎることで正の良い体験を上回る悪い印象を与えてしまうのです。
こういった負の力をなくすことで、観光サービスにおける正の良い体験を際出させることに意味があるのです。
悪い顧客体験の改善例
具体的な悪い顧客体験の改善例をご紹介しましょう。一般的に発生するメジャーな事例をいくつか解説します。
<悪い顧客体験の改善1:待ち時間をなくす>
人気で面白い体験をするためには、多くの待ち時間を得てから実際に参加できるケースが多くなっており、観光施設の入場やショーなどが該当します。ただ待ち時間があまりにも長いと、本当は楽しい時間を待ち時間の負の力が上回ってしまうことが多々起きてしまうのです。
こういった待ち時間を削減するれば、楽しいことだけに集中できるためまさに悪い顧客体験の改善と言えるでしょう。
<悪い顧客体験の改善2:列に並ばない>
1つ目の例と少し似ていますが、異なるのが列に並ぶという行為です。待ち時間が少なかったとしても、列に並ばなければいけないというには人間には負の力が働くようになっています。チケットを買う、入場する、何か物を受け取るなど様々な状況で発生します。
もし列に並ぶことがなければ、どうでしょうか?負の力が働くことなく、そのまま楽しい体験を味わうことができます。
どのようにして負の力をなくすのか?
上記の例でもご紹介してきた通り、負の力をなくすのは少し工夫をしたりちょっとしたアイデアを考えれば達成しやすいのが特徴です。
特にデジタルの力を使うことですぐに解決できることが多く、ツールの導入だけで大幅に改善することも多く存在します。
例えば人数が限定された時間指定の入場券をオンラインで買えれば、待つ時間も現地で列に並ぶこともありません。他にも必要な書面を事前に配ってオンラインで記入してもらえれば待ち時間はなし、提出するための列という概念自体がなくなるのです。
このように悪い顧客体験をデジタルツールで1つずつ解決していくことで、良い正の顧客体験をより際立たせて印象に残すことができるようになります。
実際に悪い顧客体験を改善できた例は様々あるため、別の記事で詳しく解説したいと思います。
ポイント3:積み重ねてファンになる
AHAモーメントを提供して顧客の印象に残り、悪い顧客体験をなくすことで正の力を最大限活かすことができればロイヤリティが形成されたリピーターに必ずなるのか?
実はそんなことはありません。それぞれが単発的な取り組みだった場合、リピーターを形成するためのファンになってくれる確率は極めて低いでしょう。
つまり良い顧客体験は可能な限り多く提供し、悪い顧客体験はすべてなくし、「顧客のエンゲージメント」を高めることでファンにする必要があります。
その理由を詳しく見ていきましょう。
悪い顧客体験は可能な限りなくして土台を作る
悪い顧客体験の改善においては、1つだけ負の力を解消したとしても、他にも負の力が残っていては正の力が最大化されません。
つまり提供するサービスにおいては、可能な限り悪い顧客体験をなくすということが求められます。もちろん全てなくして0にするのが理想ではありますが、ツール導入等の費用対効果との兼ね合いもあることから、顧客のエンゲージメント形成を阻害する重要な部分は必ず対応しましょう。
こうして悪い顧客体験を最小限に留められれば、顧客がロイヤリティを感じるためのエンゲージメントを形成する土台が作られます。
良い顧客体験を連鎖させてエンゲージメントを作る
良い顧客体験を感じる土台ができた後は、楽しい体験をたくさんしてもらいましょう。
ここで重要なのが、良い顧客体験を連鎖させるということです。1つAHAモーメントができた後は、その後に2つ目のAHAモーメントがあることで相乗効果が生まれます。
心理学的な観点からは、良い印象が続くことで多少悪いことがあっても気にしないという「ハロー効果」という生理現象があります。
ハロー効果とは、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと。光背効果、後光効果とも呼ぶ。
グロービス経営大学院より
心理学の世界では、認知バイアスと呼ばれるものの1つである。
このハロー効果を狙うためにも、良い顧客体験は可能な限り連鎖させるようにしましょう。
エンゲージメントが高い = ファンになるということ
こうして悪い顧客体験がほとんどなく、良い顧客体験が連鎖することによって、顧客にとってのロイヤリティが形成されます。
このロイヤリティ形成が高まった状態を「顧客エンゲージメントが高い」ということができ、リピーター形成に向けた「ファンを作る」という状態になるのです。
観光における顧客エンゲージメントは、「ゲストエンゲージメント」という考え方で考えられます。以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方は是非ご覧ください。
ポイント4:参加後も顧客接点を持ち続ける
無事にゲストエンゲージメントを高められロイヤリティが形成され、ファンを作ったら安心!かというと終わりではありません。
実際にリピーターになってもらうためには、また来てもらうための「機会の創出」が必要になります。この機会を作るために重要なのが、参加後も定期的に「顧客接点」を作って関心をもってもらうことです。
なぜ顧客接点を持ち続けるのが重要なのか、どのように顧客接点を作れるのかなどを順に解説します。
忘れられたらファンの意味がない
リピート訪問するための機会を作る時に重要なのは、対象となる顧客にしっかりと思い出してもらえるかどうかです。そしてどんなに良い顧客体験をしてその時はファンになったとしても、後で忘れ去られてしまっては意味がありません。
一方で人間の記憶はすごいスピードで物事を忘れていってしまう生き物です。下記の図は有名な忘却曲線という理論ですが、なんと1ヶ月後には21%しか覚えていないいう事が証明されています。(時が経過すればもっと忘れてしまいます)
つまり、ファンになっても何もしなければどんどん忘れられてしまうため、勉強のように定期的な復習をしてもらう = 楽しかったことを思い出してもらうための顧客接点を作る事が重要なのです。
季節やライフイベントに応じたアプローチが効果的
顧客接点を作ると言っても、目の前に顧客がいないのであれば何もできないと思うでしょう。そこで重要になってくるのが、メールマガジンやSNSを使った定期的な顧客接点です。
このようなデジタル施策の実行に悩む方がいますが、実は観光事業者の皆さんが普段からやっているような事を生かしたり、日頃やっているような配慮を載せてあげるだけで十分なケースがあります。
以下で観光事業者が顧客接点を作るための具体的なアプローチを紹介します。
<季節に応じたアプローチ>
・クリスマス、正月、バレンタインデーなどのイベントの案内
・春休み、夏休み、冬休みなどの季節性ある取り組みの紹介
<ライフイベントに応じたアプローチ>
・幼稚園、小学校、中学校などの進学に合わせたイベント案内
・誕生日、結婚記念日、還暦などに使えるスペシャルサービスの案内
<その他のアプローチ>
・子供の学習目的や教育目的に活かせるサービスの案内
・キャラやある作品とコラボしたサービスの案内
このように普段から観光サービスの運営をしていることで既に対応されているものを使い、ネタとしては顧客接点を持つような取り組みを比較的簡単に始める事ができるでしょう。
より効果的なアプローチ内容やメルマガ等の運営方法は、別の記事でご紹介予定です。
どんな顧客接触方法があるのか?
顧客接触をするためのコンテンツ側(ネタ)はイメージがついたと思いますが、実際に顧客接触を実現するのはどんな事をすれば良いのでしょうか?
SNSのフォロワー獲得や、ダイレクトメール(DM)を送るのは運営難易度の高さやコストがかかる観点から実は難しいのです。
そこでおすすめしたいのが、顧客対して定期的に効率よく連絡ができる「CRM」というツールの存在です。
(CRM:Customer Relationship Managementの略)
顧客管理ができるとともに、必要なメッセージ配信や顧客接触を自動でしてくれるのが最大の強み。設定さえしてしまえば、後は自動で顧客接触を作ってくれる素晴らしいツールといえます。
世間にはこのCRMをメインとしてサービスやデジタルツールを提供されている会社が多く存在しており、どの業界おいても無くてなならない欠かせない存在になっています。
CRMの詳細は別途別の記事でご紹介予定です。楽しみにお待ちください。
このように顧客接点を定期的に作り続けることで、また来てもらうための機会創出を行いましょう。
ポイント5:他と比較して選ばれる
定期的な顧客接触をすることで行動の機会を作ったら、最後は実際に来てもらうために他と比較して選ばれる理由作りを行いましょう。
選ばれる理由作りは単なる競合対策とは異なる点を持っているため注意が必要です。
ここでは選ばれるために何を考えて比較されるのか、それぞれの比較対象にどう打ち勝っていくべきなのかを解説します。
もう一度来てもらうためには?
接触の結果顧客が関心を持ち行ってみたいなと思った時に、実際にはどんな要素と比較されるのでしょうか?
大きくわけて2つの壁を乗り越える必要があり、以下がその詳細です。
<乗り越えるべき2つの壁>
・同じ観光地に来てもらう
・競合に行かず自社に来てもらう
観光事業者はまずは「同じ土地に来てもらう」という場面を考慮する必要があり、まずはここで選ばれる必要があります。これは競合対策よりも1つ上の概念であり、戦略的な活動が求められます。
それに加えて、同じ観光地の中でも似たような形態の事業者や同じ業種の同業他社などの競合に打ち勝つ必要があるのです。これは競合対策に似ている部分もありますが、対象がリピーターになるため少しアプローチが異なります。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
ターゲットに同じ観光地に来てもらう
同じ観光地に来てもらうためには、どうすれば良いでしょうか?顧客が年に数回しか旅行しないのであれば、なかなかチャンスができませんよね。
ここで必ず取り入れたい考え方は、リピーターとなるターゲットは誰かという点です。遠隔で離れた旅行客を何回もリピート訪問してもらうのは難易度が高くありませんか?こういった顧客をメインターゲットにしても、効率が悪く効果がなかなか発揮できないでしょう。
つまりリピーターとして相対的に来てもらいやすい「地元住民・近隣住民」をメインターゲットとして、近いから来てもらうという発想と理由作りが大切になります。
もちろん遠隔地からもきてもらいたいのですが、ポイントはターゲット別に機会の作り方が少し違うということ。この点は別の記事で詳しく解説予定です。
このリピーターとして相性の良いターゲットであれば、同じ観光地に来てもらえる可能性は高くなり、より具体的な施策に落とし込むことが容易になります。
競合と比較して来てもらう
同じ観光地に来てもらう事ができそうであれば、最後に乗り越えるのが競合と比較して来てもらうという壁です。
この競合比較に関しては自社の提供するサービス内容・属する業種・ユニークな点によって大きくアプローチ方法が異なるのです。
例えばその地域に1~2つしかない観光施設(例:遊園地・動物園・水族館など)であれば、競合は少ないためターゲットにアピールするポイントを絞る事ができます。また、地元住民・近隣住民に週末に来てもらうためには、イオンやファミレスなどの全く違う形態の競合と差別化するケースもあるでしょう。
一方で同じ業種が多数あり比較されやすい場合は、より顧客に合わせた個別具体的なアプローチが必要です。前回はこれで喜んで頂けたので、今回はこういったものはどうでしょうか?といった提案型の機会を作る事で、他と細かく比較させる前に決めていただくような事が必要です。
こういったアプローチ内容は状況に応じて大きく変わるため、業種・状況など個別ケース別に別の記事でご紹介したいと思います。
このように他と比較されて選ばれる理由を明確にするには、メインとなるターゲットを決めた上で競合と比較して来てもらうためのポイント整理を行うことが重要になります。
こういった考えなしに施策だけやっても効果が上がりませんので、注意しながらリピーター作りに取り組んでください。
まとめ
リピーターを作るための重要な5つのポイントをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?今までどうやってリピーターを作って良いか道筋が不明な方にとっては、少しでもお役になったのあれば幸いです。
顧客のロイヤリティ形成と顧客の行動創出という2つの軸を意識するだけでも大きく変わるでしょう。何に力をいれるべきなのか、どういった施策をすべきなのかが戦略的に考えて動く事ができます。
こういったポイントを元に、具体的なリピーターを作るためのプランを考えてはいかがでしょうか?今まで行っていた事の精度が上がるだけではなく、効果を実感しやすくなることは間違いありません。
特にデジタルツールは様々な状況において大いに役立つケースが多いため、CRMの導入やリピーター作りに最適なツール導入を検討することをおすすめします。
当ブログではゲストエンゲージメントを高めるための秘訣や、具体的にどういった施策でエンゲージメントを高めるのかを詳しく解説していく予定です。
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